「転んで背骨を圧迫骨折してから、動くのが怖くなってしまった…」
そのようなお悩みは、高齢のご家族を持つ多くの方に共通するものです。脊椎圧迫骨折は、骨がもろくなる骨粗しょう症の高齢者に多く、尻もちをついたり、重いものを持ったりするだけでも起こることがあります。骨折後の痛みや、再び骨折するかもしれないという不安から、体を動かすことに強い抵抗を感じる方が少なくありません。
しかし、この**「動かない」状態が続くと、筋力が急激に衰え、関節が固まってしまう廃用症候群に陥りやすくなります。そうなると、日常生活の自立度が低下し、結果的に介護の負担が増えてしまいます。ご家族にとっても、「このまま寝たきりになったらどうしよう」という不安は尽きません。
脊椎圧迫骨折後の「動くのが怖い」を和らげる在宅ケア
脊椎圧迫骨折は、安静期間を経て骨が固まっても、後遺症として腰や背中の痛み、背骨の変形が残ることがあります。この痛みをかばうことで、不自然な姿勢になり、さらに別の部位に負担がかかるという悪循環に陥ってしまうことも少なくありません。
平塚市にお住まいの70代男性のご家族からは、「圧迫骨折から1年経っても、腰が丸まってしまい、歩行が不安定で困っている」というご相談をいただきました。このように、一度骨折を経験すると、ご本人の「動くのが怖い」という心理的な壁が、身体的な機能回復を妨げることが多いのです。
在宅でできる「動き出しの不安」を和らげる方法
脊椎圧迫骨折のリハビリには、腰に負担をかけず、少しずつ体を動かす練習が欠かせません。
- 安全な起き上がり・立ち座り: 痛みのない方向を確認しながら、ゆっくりと体を動かすことが大切です。ベッドから起き上がる際は、まず横向きになり、手で体を支えながらゆっくりと上半身を起こします。
- 姿勢の工夫: 腰が丸まらないよう、クッションを使って姿勢を整えることも重要です。座っているときも背筋を伸ばし、なるべく良い姿勢を保つことで、腰への負担を軽減できます。
これらの在宅ケアを、ご家族が一緒に確認し、安全な生活動作を身につけることが、ご本人の不安を和らげることにつながります。
訪問マッサージが「動くのが怖い」を和らげる理由
当院の訪問マッサージは、脊椎圧迫骨折後の身体的な不調だけでなく、ご本人が抱える「動くのが怖い」という心の不安にも寄り添います。
秦野市で施術を受けている80代女性の患者様は、骨折後、ベッドから降りることも怖がられていました。しかし、訪問マッサージを始めて数カ月後には、「先生が来てくれるから、安心して体を動かせる」と話してくださるようになりました。
- やさしいマッサージで痛みを緩和: 骨折によって硬くなった背中や腰の筋肉をやさしく指圧・マッサージし、痛みを和らげます。痛みが軽減することで、体を動かすことへの抵抗感を減らすことができます。
- 無理のない機能訓練で自信を取り戻す: 訪問マッサージで「機能訓練」(一般的にはリハビリと呼ばれます)も行います。ベッドでの寝返り、座った状態でのバランス練習など、その日の体調に合わせて無理のない範囲で体を動かす練習をします。
- ご自宅での安心感: 慣れた環境で施術を受けることで、ご本人の緊張が和らぎ、リラックスした状態でリハビリに取り組めます。
病院リハビリとの役割の違いと継続ケアの考え方
病院でのリハビリ(理学療法士が行う機能訓練)は、急性期の集中的な回復を目指します。しかし、退院後は通院が困難になるため、継続的なケアが必要になります。
訪問マッサージは、この退院後の在宅ケアを担う重要な役割があります。
- 病院リハビリとの連携: 当院は、病院のリハビリからスムーズに移行できるよう、主治医やケアマネージャーと連携し、継続的なケアプランを立てます。
- 継続的な身体機能の維持: 週に1〜3回の定期的な訪問で、骨折後の再発防止や、歩行能力の維持・向上を目指します。
「動くのが怖い」という気持ちをそのままにせず、適切なケアを継続することが、ご本人の自立とQOLを守ることにつながります。
まとめ
脊椎圧迫骨折は、身体だけでなく心にも影響を与える病気です。しかし、「動くのが怖い」という不安に寄り添い、適切な在宅ケアを続ければ、再び歩行を楽しみ、活動的な生活を取り戻すことが期待できます。