その正体は“構造的”な問題だった
訪問鍼灸・マッサージの仕事を続けていると、
ふとした瞬間にこんな思いがよぎることはありませんか?
「自分の仕事には、本当に意味があるのだろうか……」
実はこの仕事には、
「真面目にやればやるほど、評価されにくくなる」
という、少し残酷な“構造”が存在します。
今回は、その正体を言葉にし、
あなたの心を少し軽くするための考え方をお伝えします。
結論:評価されないのは、あなたの技術不足ではない
訪問マッサージ・訪問鍼灸は、そもそも
**「成果が非常に見えにくく、評価されにくい構造」**を持った仕事です。
「なかなか良くならない」
「変化が分からない」
そんな言葉を向けられて、必要以上に落ち込む必要はありません。
あなたが向き合っているのは、
医療・介護の中でも最も難易度の高いミッション——
“現状維持”を支える仕事だからです。
理由:「悪化しなかった未来」は、誰にも見えない
なぜ、これほどまでに評価が難しいのでしょうか。
理由はシンプルです。
訪問マッサージの主戦場は、
**回復期ではなく「維持期(慢性期)」**だからです。
- 劇的な改善が起こりにくい
→ 高齢や基礎疾患により、機能回復に限界があるケースが多い - 「維持」は「変化なし」に見えてしまう
→ 本来なら悪化して寝たきりになる可能性を防いでいても
周囲には「変わっていない」と映る - 不可視な貢献
→ 拘縮を防ぐ、痛みを抑える、介護負担を増やさない
こうした“防衛的成果”は、
起きなかった未来を評価するため、非常に伝わりにくい
あなたの仕事は、
「問題を起こさせない」という、最も静かで、最も難しい役割なのです。
現場で起きがちな「認識のズレ」
たとえば、脳梗塞後遺症の80代の患者様に
半年間、訪問施術を続けたケースを想像してください。
施術者の視点
- 関節の抵抗が減った
- 寝返りがスムーズになった
- 明らかな“手応え”を感じている
家族・ケアマネの視点
- 「半年経っても歩けない」
- 「デイサービスと比べると変化が少ない」
この視点のズレが、
「やっていても意味がないのでは?」
という言葉につながります。
さらに、保険制度を利用していることから生まれる
「保険ビジネス」という一部の偏見が、
真面目な施術者の心を静かに追い詰めていくのです。
結論:成果を「見える化」し、自分を守る
この構造的な苦しさから抜け出すために必要なのは、
自分を正当に評価してもらう“術”を持つことです。
① 数値と記録による「見える化」
- 関節可動域(角度)
- 痛みスケール
- 立ち上がり回数・介助量
主観ではなく、共有できる指標を残しましょう。
② 初期の「期待値調整」
施術開始時に、
「劇的な改善ではなく、悪化を最小限に抑えることがゴール」
であることを、あらかじめ共有する。
これだけで評価の軸は大きく変わります。
③「IF(もしも)」の視点を伝える
- 「もし施術をしていなかったら」
- 「どんな悪化が想定されたか」
専門家としての見立てを、
定期的に言語化して伝えていきましょう。
最後に
「悪くさせない」という仕事は、
最も高度で、最も価値のある貢献です。
もし今、
「報われない」「評価されない」と感じているなら、
それはあなたが——
誰にも見えない場所で、
患者様の“明日”を必死に守り続けている証拠。
その価値を、
まずはあなた自身が認めてあげてください。

